フラペチーノ®が沖縄の伝統菓子・ちんすこうの歴史を変える⁉


「JIMOTOフラペチーノ®」今年は全国の店舗に登場!

2022年夏、「JIMOTOフラペチーノ®」として全国デビューすることになった「沖縄 かりー ちんすこう バニラ キャラメル フラペチーノ®」。商品では沖縄を感じる沖縄銘菓・ちんすこうの味わいをたっぷりとお楽しみいただけます。沖縄に想いを馳せながらぜひ味わっていただきたいフラペチーノ®に込められたストーリーを伺いました。

琉球菓子から土産菓子へ、そして地元に愛される菓子へと変化

「沖縄 かりー ちんすこう バニラ キャラメル フラペチーノ®」は、バニラとミルクをベースに「ちんすこう」を加えてブレンドし、カップに添わせる形でキャラメルソースもイン。仕上げにホイップクリームと砕いたちんすこうをトッピングした、ザクザク食感も楽しい一杯です。

発案者の一人、沖縄アブロうるま店ストアマネージャー(店長)の仲村さんは、「47JIMOTOフラペチーノ®の企画は自粛の時期だったので、地元を盛り上げたいという気持ちが強かったです」と、観光業をはじめダメージを受けた沖縄への思いを語ります。フラペチーノ®のアイデアを募った際、「地元にも県外の人たちにも認知されていて沖縄らしい素材」だと、県内24店舗のうち多くの店からちんすこうを使ったフラペチーノ®がエントリーされました。

そこでフラペチーノ®の材料となる「ちんすこう」を深く知るため、仲村さんとともに沖縄県糸満市にあるちんすこうメーカー「珍品堂」を訪ねました。かりゆしウエアに満面の笑顔で出迎えてくれたのは、珍品堂2代目・安里仁勝(あさとじんしょう)さんです。

ちんすこうは、琉球王朝時代に王家・貴族の間で祝儀や法事に用いられた琉球菓子。基本の原料は小麦粉、砂糖に加えてラードを使うのが特徴的で、もともとは大きな菊の型で抜いて焼かれていたものが、戦後に今の食べやすい細長い形になったといわれています。
「サーターアンダギーのような庶民的な菓子と違い、琉球菓子はもともと貴族が食べていた菓子だから、私が子どもの頃は地元の人はほとんど食べていなかったわけですよ。でも、県外の人が土産に買うから那覇でいちばん売れているのはちんすこう。だから地元の人にも食べてほしいと思って、うちでもちんすこうを作り始めたんです」と、安里さん。

ちんすこうが全国に広まった転機は2000年に開かれた沖縄サミット。翌年にはドラマの舞台にもなり、「沖縄ブームがきて、ちんすこうが一躍有名になったんです。メーカーもフレーバーもいっきに増えました」(安里さん)。
今年で本土復帰から50年になりますが、「30年ほど前は、沖縄って日本語しゃべるんですか?とか、琉球ですよね、とか言われていて。でも、サミットで沖縄の美しい自然がテレビで全国に流れたんですよ」と、沖縄が注目された当時を振り返ります。

珍品堂では25年前から、子どもたちをはじめ地元のみんなに食べてもらいたいと、ちんすこうを小分けの袋入りにして製造販売をスタートし、地元のコンビニやスーパーと組んで地道に販売を続けたといいます。近年は県内の一部の学校給食にも登場。「子どもたちが味に慣れ親しんで、大人になってからも楽しんでくれればうれしい」と安里さん。ちんすこうを手掛ける人たちの努力が実り、現在では地元の人にとっても身近な菓子になっているようです。

100のメーカーがあれば、100通りの違う味がある

この日作られていたのは、プレーンのちんすこう。原料を捏ね、できあがった生地が機械に投入されると、おなじみの形に成形されて天板の上に行儀よく並んで流れていきます。水分が少ない硬めの生地なので、手早い作業が大切なのだそう。

成形された生地は焼き上がりにムラが出ないよう、小さかったり大きかったりするものは手作業でささっと省いていきます。そして190℃前後のオーブンで20分ほど焼成するとできあがりです。

「温度が低いと粉っぽくなり、甘みが強くなります。逆に高すぎると苦味が出てしまう。焼き色を見ながら温度も細かく調整していきます」(珍品堂 企画営業部の照屋ルミさん)。
薄いベージュ色に焼き上がり、こうばしい匂いが漂います。

焼きたてを味見した仲村さんからは、「やわらかーい! 生地もしっとりしている!!」という驚きの声が上がります。
「このやわらかな食感が、冷ましていく過程で生地がきゅっと詰まって変化するんです」(照屋さん)。

商品として完成したちんすこうも味見をしました。

断面を見て「空洞ができてる! 冷めるとこうしたザクッとした食感になるんですね。でも、私がこれまで食べたちんすこうとも食感が違います…」(仲村さん)。

コーヒーやチーズなどほかのフレーバーも試食をし、どれも味だけでなく食感にも違いがあり、シンプルな中に個性があることに驚かされます。

「基本の原料はどこのメーカーも同じ。だから原料の配合や焼き方で違いを出していて、それぞれの会社の味になるんです。伝統の中で新しいものを追求していくんですね。ちんすこうってどの会社も同じだと思われるかもしれないけれど、100社あれば100の味があるんです」(安里さん)。 珍品堂では子どもになじみやすい味にしたいと、少し強めに焼いてザクッとした食感にこだわっているそうです。

沖縄発のフラペチーノ®に、人と人をつなぐ一杯になってほしい

最後に、フラペチーノ®とともに、ちんすこうが全国へ届けられることへの思いをたずねました。

「誇りですよ! まだちんすこうを食べたことがない人にも、スターバックスを通じて知ってもらえたら、そして気に入ってもらえたらすごくうれしい。伝統をこれからもつなげていく、残していくためにも、とてもいい機会だと思います」(安里さん)

仲村さんは、人に会いづらい期間が長く続いてきたことを思い、「世代を問わず、人と人をつなぐ一杯になってくれたら」と願います。

「海に行く、散歩に行くなどお持ち帰りして出かけたり。友人や家族とのつながりの中に、このフラペチーノ®があったらうれしいです」(仲村さん) 遠く離れた故郷を思いながら飲む人、沖縄の思い出を語る人、ちんすこうに初めて出会う人…。フラペチーノ®と沖縄の伝統菓子が出合い、新たな歴史と絆をつないでいきます。

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スターバックスの「品質基準」: おいしさを保ち続けるための積み重ね